クラゲ水槽メンテナンス日記

〜氷壁〜

名古屋から西の津に近い医院に置いていただいているクラゲ水槽のポンプが止まってしまい、ほぼ同時に名古屋から少し東の方の水槽の水換えメンテナンス依頼が来ました。水槽のポンプが止まるなど突発的な問題が起こるのは数年に一度くらいの頻度です。数ある水槽の設置先の中で、近くの水槽で同時に問題が起こるのは天文学的な確率のように思います。メンテナンス旅行として、どこかで一泊していくことにしました。

当日ふと目に留まった、御在所岳の麓の、湯の山温泉に宿泊することに。私がロッククライミングしていた頃以来ですから、二、三十年ぶりです。自分と同じ誕生日の406号室に通されました。

宿の図書コーナーに井上靖の小説「氷壁」を見つけました。文庫本で500ページ強の長編ですが、一晩かけて再読しました。最初に読んだのは高校生の頃です。「氷壁」に登場する、都会の雑事に追われながら純粋に山を追い求める主人公たちの生き方に激しく憧れました。今、読み直しても熱く心を揺さぶられます。主人公たちが「氷壁」に散った年を遥かに超えてしまいました。私の場合は山ではありませんでしたが、自分の人生の氷壁をしっかりと追い求めていこうと新たに心に刻むことができました。